ひっさしぶりにソウルイーターを出てるとこまで全巻読んで、あほみたいに萌え(燃え)滾ったのでアニメを全話視聴したら、案の定熱が収まるどころかぶわわわわって沸き返ってしゃーなかったのでソウマカ書きました。我ながら、わたしの狂気はほんといろんな方向にころっころ転がって落ち着きがありませんすみません。
なんだろ、ソウマカのなにがいいって、先を走るのがマカなところが堪りません。いつだってソウルはマカの後をついてくるところ。主導権はマカが握ってて、でもマカがマカであるためにはソウルが必要で、ソウルじゃないと駄目なところがおねーさんの萌えポイントにクリティカルヒットです。というかねえ、ソウルにとってマカがヒーローすぎてもう変な声でる。ただでさえ男前な言動の目立つマカですが、いやー…あんなに必死になって戦ってる姿を一番傍で見ててねえ、ぐっと来ないわけねーと思うんです。しかも自分を守るために強くなりたい、一緒に強くなりたいとかねえ、そんなんかっこよすぎるよマカさん…!
そんなわけで折りたたみはソウマカです。うおおおお書きてええええ!ってなった部分の三分の一くらい、な気がします。だから短め。続き書くつもり満々ですが、なんとなく区切りがいいのと、モチベーション上げるためにブログにのっけておきます。…まあもともとソウ→マカな感じになるだろうとは思ってましたが、もっとバカバカしい感じの笑えるノリで、もっと小ざっぱりした雰囲気になるものだと思ってたので、初っ端でいきなり躓いてる感は半端ないんですが。書きはじめたらソウルが想像以上にマカのこと信仰しててちょっとビビってます。基本的にソウルはマカのこと大好きすぎて、だからマカに捨てられるのが怖くてなんにもできないってのがわたしの脳内ソウマカです。何をするにもマカさんの許しが必要なので、ソウ→マカではあるものの、攻めはマカというイメージ……あるぇー?わたし疲れてんのかなー…。
[0回]
マカは、隠し事が壊滅的に下手だ。
素直と言えば聞こえはいいが、根が正直というか、クソ真面目というか、頭の回転は悪くないのに驚くほど馬鹿というか。隠しておこうとすればするほど、それがモロに顔に出る。その顔色から雰囲気から、魂の不自然な揺らぎから、「わたしは隠し事をしています」と如実に訴えかけてくる。
――そうと意識しないときは、この世に比類するものがいないくらいの天下一品の強がりで、痛みや苦悩を包み隠して見せるのに。
まったくもって呆れるほど馬鹿なヤツ、それがマカ=アルバーンという自分のパートナーである。
「――ど、どうしたの? マカちゃん」
「ふえっ!? べ、別に? なんでもないよ!?」
……ちなみに付け加えるなら、嘘をつくのはそれに輪をかけて下手くそだ。
「なんでもないってことないだろー。今おまえ、光の速さでロッカー閉めてたじゃねーか。…どした? ゴキブリでも紛れ込んでたか?」
長身のリズに顔色を覗き込まれたマカが、持ち前の反射神経をフル活用して自身のロッカーにべたりと貼り付く。
…べたりと、というのはかなり消極的な表現だ。きちんと言い表すなら、ドゴンだとかバコンだとか、空の一斗缶を木製バットで殴りつけたような、ひどく痛々しい擬音語が正解。そしてこの場合、空の一斗缶はマカのロッカーであり、木製バットはマカの後頭部である(ロッカーの扉が若干歪んでいるように見えるなんてそんなバカな)。
ぶわぶわと涙に滲むモスグリーンのひとみを携え、「なんでもないなんでもない!」と首を横に振られたところで、この場の誰がそれを信用すると言うのだろう。
――ああもうほんと、まったくもって馬鹿なヤツ。
「俺様に隠し事たぁ、いい度胸じゃねーか! 退けマカ、なに隠してやがる!」
「ななななんでもない、なんでもないったら! なんも入ってないって言ってんでしょー!?」
「……なるほどねえ。なんか入ってたらしーぜ、ブラック・スター」
「あ。もしかして、さっき見てた手紙のこと?」
「ちょっ、リズに椿ちゃんまで! っやだ、馬鹿ほんとやめてよブラック・スター! やめてったら!」
マカの声に本気の拒絶を感じて、俺はため息交じりに傍観者の位置から手を伸ばす。このくらい自分でどーにかしろよと思わなくもないが、悪ノリしたブラック・スターが一筋縄でいかないことはこちらもよくよく承知しているので、手を貸してやるのは吝かでない。不思議なことに、本来ならストッパーとして機能すべき椿もそうする気配を見せないし。まあ、このくらいは構わないだろ。
そのくらいでやめとけよ、という気だるげな自分の言葉と、よっしゃああ!というブラック・スターの雄叫びが交差して、そこにロッカーの扉がぶっ壊された耳をつんざく破壊音が共振する。誰も彼もがその不協和音に眉をひそめる中、リノリウムの廊下にひらりと舞う一通の便箋。宛名は、
「……なんだこりゃ? 『マカ=アルバーン様へ』?」
「…っ返せ!」
「やだねー、っと! …ナニナニ?『親愛なるマカ様、突然のお手紙すみません。僕は、』」
「返してってば!」
「…………………」
悲鳴にも似た声をあげながらブラック・スターに殴り掛かった(我がパートナーながら、このお嬢さんは本当に手ばかりが早くて困る)マカだが、そんな攻撃が通用するなら苦労はない。手を振り上げるマカには目もくれず、ひょいと宙に体を躍らせて感情ばかりが先行する拳を避けたブラック・スターは、跳躍したままマカの後頭部に指をかけて、いとも簡単に廊下に転がしてみせる。
ずべしゃっ、と頭から派手に倒れ伏すマカ。…なんともまあ、惚れ惚れするほど容赦のない野郎である。
「――おいソウル、これ」
「あ?」
いよいよ本来の役割を思い出した椿が声を荒げるのをどこ吹く風と聞き流す筋肉ダルマが、しれっとした顔で、しかしそれがさも当然であるかのように手紙をこちらに差し出してくる。
てっきり、一緒に面白がっていたリズやパティの方へ手紙が流れるものだと思っていたから、ブラック・スターのその行動にはぎょっとしてしまった。…だって別に、キョーミないから。アイツらみたく面白がるのは、あまりにちょっとゲスいような気がしてノリきれないし、オレはあいつの武器で、あいつはオレの職人だが、だからといってあいつが受け取った手紙を覗くのはいくらなんでもおかしいと思う。
オレがあいつに見られたくないと思うものがあるのと同じように、あいつにだってオレに見られたくないと思うものがあるはずだ。
「ん、」
そういう、配慮やら心遣いやらという細やかなもの、あるいは在って然るべきものを、鼻息ひとつで蹴散らして見せるのがブラック・スターという馬鹿である。どこぞの国のアニメ映画、土砂降りの雨の中を立ち尽くす姉妹に自身の傘を突きつけて走り去っていく、坊主頭のガキみたいな仕草で筋肉ダルマがオレに手紙を突きつける。
別にいらねえ、そう言おうとしたくちびるは上下が綺麗に縫い合わされてしまっていて、オレは上手に呼吸するやり方さえ地平線の彼方に吹っ飛ばしながら、その白い紙切れを受け取った。ピシリと四方が整っていて、汚れひとつない白い紙に踊る文字。心臓がぞくりと跳ねる。ごろりと喉が音を立てる。口の中がカラカラに渇いていた。
ぼくは、あなたのことが です。
「~~~~っ、ちょっともう! ソウルまでやめてよ! なんでこんなことすんの!」
オレの両手の間にある白い紙をぐしゃりと握りつぶしながら、マカが必死の形相でそれを掻っ攫う。通常であれば、困惑や羞恥で顔を真っ赤にしながら涙目で睨んでくるあたりが妥当だろうが、残念ながら(…残念ながら?)オレの職人はそんじょそこらの女子とは違う。
顔はまあ確かに赤いっちゃ赤いが、それより眼光の鋭さがあんまりにも強すぎて、今の今まで手元にあった紙に蛇を操る件の魔女のツラでも描かれていたのかと錯覚してしまう。奥歯をぎゅっと噛みしめて、そのつるつるした眉間に刻み込む深い皺なんか、とてもじゃないがラブレターを受け取った女の顔にあるべきものだとは思えない。
ラブレター。
――マカにラブレター。
―――…ガリ勉で根暗で色気がなくて、変なところで頑固で意地っ張りで口が悪くて手も早くて、頭は悪くねーはずなのに考えなしでいつだって自分ひとりで突っ走ってオレの知らないところで勝手にへこんで、そのくせ立ち直るときにはオレの手助けが必要で、武器を強くするために在るのが職人のはずなのにオレを守るために強くなりたいなんてバカなことを抜かす、『あの』マカにラブレター!
「……ック、はは…!」
「…おいソウル、」
いきなりクツクツ笑い出したオレを見る、キッドの顔が不審と困惑で歪んでいる。今にも「何がおかしい」と言い出しかねないツラだが、これが笑わずにいられるか。おかしい、可笑しすぎる。むしろこの状況で笑わずにいられる、お前らのほうがよっぽどおかしいだろ。
――だってこんなの、笑い話にもなりゃしねえ。
「ッハハ、あーおっもしれ。世の中には物好きもいるモンだよなァ?」
「…なにそれ。ソウル、どーゆー意味よ」
「そのまんまの意味だよ。お前、自分の姿鏡で見たことねーの?」
モスグリーンの瞳がきつく眇められるのとその魂の波長が乱れるのと、オレの脳天がべっこり凹むのはほとんど同時だった。ついでにその次の瞬間オレは廊下に叩き伏せられて、鼻息荒く、まるで怪獣みたいにドスドスと足音を立てて歩き去るマカをぼんやり見送る。
ゲラゲラと腹を抱えて笑う筋肉ダルマの声が少しだけ煩わしく、でも同じだけほっとして、キッドの溜息には聞こえないふりをする。パッと翻るマカのミニスカート。身体の下に広がるリノリウムの床は身を切るように冷たい。
「……いい加減やめろっつーの…」
色気のねーパンツ。
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