「電脳コイル」全26話を三日間で全て視聴し、ラスト3話 ほとんど最初から最後まで泣きっぱだった私を誰か滅してください。終盤のストーリーの盛り上がりというか、前半のうちから細かく張られていた伏線とそれに対する私の予想をことごとく裏切ってくれた最後にボロ泣き。まぁ普通なら半年かけて1話ずつ明らかになっていくストーリーを、わずか3日で怒涛のように拝見すれば個人の中での盛り上がりは非常に大きなものになるだろうとは思いますが。うん、それでもすごく面白かった。あんな風に最後の最後に一番高い山場がありながら、けれどそれで一つの話を纏め上げるというか・・きちんと終息するような話を構築してみたいものです。終わりのない話なんてのは存在せず、だからこそきちんと閉める。ちゃんと終わらせる。終わりに向けてじわじわ進む。・・・・・頑張ろうと思いました。
さて話題変わって久々の鳩羽書房第五話について少しばかり。拍手レスは次にさせていただきますー!
5:太陽を焦がす
そして再び阿部視点。やっぱやりやすいなぁ。彼が女子大生にどんなイメージを抱いていたかは定かではありませんが、とりあえず私はなんていうか白い日傘に柔らかな色の半そでもしくは5分丈Tシャツに白いふんわりスカートみたいな、ね?(子犬のオプションもあると尚よし) いつの時代だって言われそうですが、そんな女子大生なイメージをぶち壊してくれますうちのヒロイン。自分で書いておいてなんですが、ガッカリするでしょうやっぱ。モモカンは恋愛に関して寛大というか、一緒に面白がりそうですねー。みんなも高校生ですからね、好いた惚れたに興味があるのはフツーでしょう!(語彙が古い) 上半身裸の田島にヒロインが全く動じなかったのは、カノ猫のルークのせいです。あちらをご覧くださった方はお分かりになるかもですが、美少年のハダカを見慣れていますあのヒロイン(ひでぇ)。私はヒロインよりも、9巻でトランクス1枚の田島に平然とバナナプロテインジュースを配っていた千代ちゃんの今後のほうが心配でなりません。最後、会話だらけになってしまって私の未熟さが浮き彫りになりましたが、可哀想な水谷とちゃっかりな西広先生が書けて嬉しかったです。西広先生にあんな茶目っ気があると個人的にすごく嬉しい。
田島は何事もなかったかのようにヒロインのメアドをゲットしていますが、エピソードとして考えてあります。6話にするつもりで書き始めたはいいのですが、ヒロインの一人称にものすごい違和感を抱いて半分くらいで放り投げました。名前変換していませんが、気になる方がおられましたら続きからどうぞ。デフォルトは「青柳朱音」です。
「へー! 深淵大の学生さんなんだぁ!」
「はい。農学部の2年です」
本日最後の講義を終え、さて今日も帰ろうかとかばんに教科書を詰め込んでいるとき、携帯がぺかぺか光っていることに気が付いた。ぱかりと開いた携帯のディスプレイには、ここ最近でやたら見慣れた一つの名前。
From:田島悠一郎
Subject:
朱音今日ヒマー?ヒマだったら午後練見に来てー!そしたらオレがんばって打つから、ゲンミツに!
まるで本人がそこで喋っているかのような文章に思わず笑みが漏れる。バイト先である鳩羽書房の近くにある西浦高校の野球部に在籍する田島とははじめて出会って以来、90%以上の確率でバイトに出れば顔を合わせていた。時間はとっぷりと日も暮れただいたい9時過ぎ、けたたましいブレーキの音を夜の空気に響かせて、今時自動では開かない戸をがらりと勢いよく開け放って一言、「朱音!」
厄介なのに懐かれたな、と思ったことは否定しない。けれど、翌日の講義が朝イチから入っていたり、レポートで疲れていたりして9時より早めに店を上げてしまうことも多かった日常が、田島のおかげで変化したことはきっと好転した結果なのだろう。8:50までには本や伝票の整理、店内の掃除を終わらせておこうと腰を上げるのは、少なからず田島の話に引き込まれている証拠なのだと思う。田島の話に代わる代わる登場してくる9人の野球部員はどいつもこいつも話の中でキラキラ輝いて、目の前にいる最後の一人もキラキラしていて。たった19年、されど19年――出会った人は数多いが、彼らほど「キラキラ」という言葉が似合う人間を朱音は知らない。
To:田島悠一郎
Subject:
んー・・3時過ぎぐらいになるかも
ああでも、と朱音は思う。徹夜明けでへろへろで、油断すれば睡眠の海に漕ぎ出してしまう状態でも、水曜日だけは早く店をあげることはなかった(鳩羽書房の店長はたかがバイトの自分に絶大な信頼を置いていて、早めに店を閉めることも容認済みだったりする・・・・美味しいバイトであることは否定しない)。時刻は9時過ぎ、並べたばかりの週刊ベースボールをレジに突き出す無愛想なタレ目の高校生。基本的に客の少ないこの時間、毎週水曜に必ずそれを買っていく彼を覚えたのはいつのことだったか、朱音はもう思い出せない。眠い目を擦りながら、それでも「今日は水曜だから、早めに切り上げるのはムリか」とポツリ呟いた自分に、自分が一番ビックリした。
From:田島悠一郎
Subject:
マジ!?来れんの!?
いつものように――それがもう普通となってしまったことに苦笑するが、「いつものように」部活帰りの田島とレジ机越しに話し込んでいるとき、カバンの中で唸り声をあげる携帯に気が付いたのは朱音ではなく田島だった。ふ、と話を途切れさせた田島は、ぱちりと大きな瞳を瞬かせる。
「朱音、ケイタイなってね?」
「え、うわホントだ! ごめん田島、ちょっと待ってて」
もしもし、何ルルーシュどしたの。・・え、生化学実験のデータ? ・・は、送れって言ってんのもしかして? 当たり前だろうって何それなんでそんな偉そうなわけ、・・・・ってかムリ、今バイト中だし――ちょ、今の聞き捨てならないんですけど、今使えないって言ったろ!? ・・うん、わかった明日持ってく。明日の昼ご飯と等価交換だから、・・うん、じゃあ
「悪い田島、ありがとう助かった」
にぱっと笑って首を振る田島が、手の平を差し出す。「・・・はい、握手」と自分より数年短い時間を生きているはずの、けれど自分よりも大きくてがっしりした手を握る。数回上下に振って、
「ちっげぇよ! ケイタイ貸して!」
ぶん、と勢いよく振り払われた手をさすりさすり、田島に言われるまま自身の携帯を渡す。
ここまで書いて放り出しましたすみません。流れとしてはこの後、ヒロインの携帯を受け取った田島が己のアドレスを勝手に登録し、「これ、オレのメアドだからメール頂戴!」という感じでメアド交換。それを回想シーンとして織り交ぜつつ、来れんの!?という田島のメールに「おー、ヒマだし見に行ってみるー」とかなんとか返信して、場面をグラウンドへと戻し、ヒロインの視点から野球をしている西浦ーぜ(特に田島と阿部)を描いてみる・・・・・はずだったんですが。断念はしたものの、やめてよかったかな、と思える第6話が書きあがってますので後悔はしていません。ただ次は、千代ちゃんと絡めるチャンスを夢見て。